・2022年 1月13日
・2023年 5月18日
・2023年 3月22日
・2023年 4月10日
・2022年 1月11日
・2023年 3月16日
【1月号掲載(予定)】
・2023年 7月14日
〒430-0929 静岡県浜松市中央区中央2丁目10番1号 TEL:053-454-2101
不動産所得
Q1:不動産所得とはどのようなものですか
不動産所得とは
不動産所得とは、次の1から3までの所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除きます。)をいいます。
1.土地や建物などの不動産の貸付け
2.地上権など不動産の上に存する権利の設定及び貸付け
3.船舶や航空機の貸付け
所得の計算方法
不動産所得の金額は、次のように計算します。
総収入金額-必要経費=不動産所得の金額
1.総収入金額
総収入金額には、貸付けによる賃貸料収入のほかに、次のようなものも含まれます。
イ 名義書換料、承諾料、更新料又は頭金などの名目で受領するもの
ロ 敷金や保証金などのうち、返還を要しないもの
ハ 共益費などの名目で受け取る電気代、水道代や掃除代など
2.必要経費
必要経費とすることができるものは、不動産収入を得るために直接必要な費用のうち家事
上の経費と明確に区分できるものであり、主なものとして貸付資産に係る次に掲げるものが
あります。
イ 固定資産税
ロ 損害保険料
ハ 減価償却費
ニ 修繕費
(所法26、36、37)
Q2:不動産貸付が事業として行われているか、どのように判断しますか
事業としての不動産貸付
不動産などの貸付けによる所得は、不動産所得になります。
不動産所得は、その不動産貸付けが事業として行われているかどうかによって、 所得金額の計算上の取扱いが異なる場合があります。
不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているか どうかによって、実質的に判断します。
ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。
1.貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
2.独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。
所得金額の計算上の相違点
不動産貸付けが事業として行われている場合とそれ以外の場合の所得金額の計算上の相違点の内、主なものは次の通りです。
1.賃貸用固定資産の取壊し、除却などの資産損失については、不動産の貸付けが事業として
行われている場合は、その全額を必要経費に算入しますが、それ以外の場合は、その年分の
資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入されます。
2.賃貸料等の回収不能による貸倒損失については、不動産貸付けが事業として行われている
場合は、回収不能となった年分の必要経費に算入しますが、それ以外の場合は、収入に計上
した年分までさかのぼって、その回収不能に対応する所得がなかったものとして、所得金額
の計算をやり直します。
3.青色申告の事業専従者給与又は白色申告の事業専従者控除については、不動産貸付けが事
業として行われている場合は適用がありますが、それ以外の場合には適用がありません。
4.青色申告特別控除については、不動産貸付けが事業として行われている場合は、正規の簿
記の原則による記帳をおこなうなどの一定の要件を満たすことにより最高65万円が控除を適
用できますが、それ以外の場合は最高10万円となります。
(所法26、51、57、64、措法25の2、所基通26-9)
Q3:不動産所得の収入計上時期はいつですか
不動産所得の収入計上時期
不動産を賃貸したことにより収受する家賃、地代、更新料などは、その金額を不動産所得の総収入金額に算入することとなりますが、その収入に計上すべき時期は、原則として次のとおりです。
1.地代・家賃、共益費などは、その支払方法についての契約内容により原則として次のよう
になります。
(1)契約や慣習などにより支払日が定められている場合は、その定められた支払日
(2)支払日が定められていない場合は、実際に支払を受けた日
ただし、請求があったときに支払うべきものと定められているものは、その請求の日
(3)賃貸借契約の存否の係争等(未払賃貸料の請求に関する係争を除きます。)に係る判決、和
解等により不動産の所有者等が受け取ることになった係争期間中の賃貸料相当額については、
その判決、和解等のあった日
(注) 賃貸料の額に関する係争がある場合に、賃貸料の弁済のために供託された金額については、
(1)又は(2)に掲げる日
2.上記以外のもの
家屋又は土地を賃貸することにより一時に受け取る権利金や礼金は、貸し付ける資産の引渡しを必要とするものは引渡しのあった日、引渡しを必要としないものについては、契約の効力発生の日の収入に計上します。
このほか、名義書換料、承諾料、頭金などの名目で受け取るものについても同様です。
また、敷金や保証金は本来は預り金ですから、受け取っても収入にはなりませんが、返還を要しないものは、返還を要しないことが確定した日にその金額を収入に計上する必要があります。
(所法36、所基通36-5~7)
Q4:修繕費になるものとならないものは、どのように判断しますか
修繕費とならないものの判定
貸付けや事業の用に供している建物、建物附属設備、機械装置、車両運搬具、器具備品などの資産の修繕費で、通常の維持管理や修理のために支出されるものは必要経費になります。
しかし、一般に修繕費といわれるものでも資産の使用可能期間を延長させたり、資産の価額を増加させたりする部分の支出は資本的支出とされ、修繕費とは区別されます。
資本的支出とされた金額は、事業所得や不動産所得の計算上、減価償却の方法により各年分の必要経費に算入します。このような修繕費と資本的支出の区別は、修繕や改良という名目によるのではなく、その実質によって判定します。
したがって、次のような支出は原則として資本的支出になります。
1.建物の避難階段の取付けなど、物理的に付け加えた部分の金額
2.用途変更のための模様替えなど、改造又は改装に直接要した金額
3.機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合で、その取替えの金額の
うち通常の取替えの金額を超える部分の金額
なお、次に掲げる支出については、その支出を修繕費として所得金額の計算を行い確定申告をすれば、その年分の必要経費に算入することができます。
1.おおむね3年以内の期間を周期として行われる修理、改良などであるとき、又は一つの
修理、改良などの金額が20万円未満のとき。
2.一つの修理、改良などの金額のうちに資本的支出か修繕費か明らかでない金額がある
場合で、その金額が60万円未満のとき又はその資産の前年末の取得価額のおおむね10%
相当額以下であるとき。
(所法37、所令127、181、所基通37-10、37-12、37-13)